2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

星を踏む

夜半から風もなくさらさらと降りそそいだ雨が、山桜の大株の下、ひろがった枝のかたちをなぞるように花弁をはりつけていた。夜明けのしめった薄闇のなか、ぬれたアスファルトに白々と浮かびあがる花びらを踏めば、星空をゆく心地がする。

峠より

山肌にとけ残った雪の繊細なひと刷毛と優美な稜線のうえに、あるかなしかの噴煙が立ちのぼり、手前の山は芽ぶき直前のいまにも吹き出しそうな気配をたたえてかすかにふくらんでいる。 路肩の雪は薄汚れ、春の光でうすめられて褪せたような空とまだ雪をのこし…

つぼみにおう

日に日にふくらむつぼみは今日、にえきらない曇天の下で、光によって漂白されないぶん思いがけず色濃く浮かびあがっている。ほころべばしだいに淡くなる花色を思いながら、風に揺れる枝をみている。

草食

高速のトンネルを出たところで赤色点滅灯をのせた黒い覆面パトカーと、それに従えられた地元ナンバーの車が路肩によってとまっていた。ライオンに噛みちぎられている仲間をよけて走るインパラの気分で、無関心を装って横をすり抜けたあとで、さすがに不謹慎…