ゆるやかな死を死ぬ

リンドウは陽にあててやらないと花がひらかない。
朝、白い一輪挿しに活けた枝を窓ぎわの日なたに出してやり、錐状のつぼみが藍色にほころぶのを待って食卓に飾りなおす。閉じては開き、開いては閉じるのを幾日か繰りかえすうち、深緑の葉の縁が赤茶けて、いくら待ってもひらかないつぼみが増えていき、それでも咲く数輪のために捨て時がわからないでいる。