自由の価格

車がなくても当面の日常生活に支障はないけれど、何かをしようと思ったときにそれを成し遂げるための手数や時間が格段に増えるので、何かを思いたってはそのたびにガラスの天井に頭をぶつけているような日々が続く。
何百万というお金を払って買っているのは、実は実質的な利便性よりは、この「何でもやろうと思えばすぐ出来る」という感覚なのではないかと、車で通りすぎれば一瞬ですむ坂道をとぼとぼと登りながら延々と考えていた。人は自由にはすぐ慣れてしまうけれど不自由には敏感だ。