渓流オセロ

谷間を南へ流れくだる川にかかる橋から、下流をみやると、きのう降った雪がかわらの石の輪郭で溶け残っている。
視線を川上に転じれば、見わたすかぎりの雪は溶け、黒々とかわいた石がいつものように続いていた。
ドウダンツツジの一株ごと北側に丸く溶け残った雪を、屋根の輪郭に切り取られた斜面の雪を、目にするたびに、ああ、いつもは黒い影の部分が雪で白く反転しているのだと思う。