迷子スズメ

朝晩が涼しくなって気持ちがいいので、朝から職場の窓を開けはなっていたら、至近距離で雀の声がする。作業をしながら、おかしい、外で鳴いてるにしては近すぎる、と顔を上げると、窓ぎわの棚の上でやせっぽちの雀がはねている。
よせばいいのに閉まっている窓にそってすすんではカーテンに突入し、カーテンに埋まってひとしきり情けない声で鳴き、それから現在の進路に見切りをつけてUターンするも、開いている窓のところまで行かないうちに「やっぱりこっちじゃないのかも」とばかりに後戻り。
それを2度繰り返したところで、じれったくて見てられないのでゆっくり接近し、カーテン側からプレッシャーをかけて開いている窓の方へと追い出しにかかる。そこまで近づくと、くちばしの黄色がはっきり見て取れた。声も甘ったれてよわよわしく、足取りもそうとう危なっかしい。成鳥ならこんなときはむちゃくちゃに飛び回ってガラス戸にぶちあたって失神するのだけれど、これは幼いせいか、とまどいがちにはねるだけ。
やっとのことで開いている窓まで来ても飛ばないので、そこで一歩大きく踏み出してだめ押しすると、ぽとっ、と棚の上に置きみやげをして、ほとんど落ちるように飛び出していった。やれやれ、ティッシュはどこだっけ。

しかしこんな時期に何で子スズメがいるんだろう、と調べてみると、最近は秋に子育てするスズメもいるらしい。