河原の書斎

日暮れの近い河原のでこぼこ道を、車の腹を擦らないようにのろのろ進んでいくと、川岸の草地には先客がいた。白い車の横をすり抜けながら見やれば、Yシャツの前をはだけた男性がドアから片足を出してけだるげに雑誌を読んでいる。終業後の明るい夕べ、家族が待つ自宅では持つことのできない一人の時間を楽しんでいるのかも知れない。
ちょっと遠慮しながら少し離れたところに車を停めて、炭に火をつけるべくああでもないこうでもないと悪戦苦闘しているうちに、白い車は姿を消していた。お気に入りの時間をじゃましたお詫びとして、ビールは無理としても、肉のひと皿はくらいは進呈しても良かったんじゃないかと、ふと思う。