春の食事

洗濯物を干していると、ぴりりと可憐な声がしたので手をとめてあたりをうかがうと、マサキの垣根のなかを上下するふたつの影がみえた。しばらくそのまま待つと、ひょいと表面の枝に出てきたのはメジロだった。抹茶色のあたま、黄色ののど、そして目のまわりを丸くふちどる白。しもやけに効くので垣根にからんだのを放っておいたヘクソカズラの実を、しきりについばんでいるようにみえる。甘味好きなメジロがあんな強烈なにおいのする実を食べるのが不思議で、あとで見にいってみると、ヘクソカズラには虫が食ったあとがあった。その虫を食べていたのかもしれない。