人の手にて

長いこと放置されて少したるんだゴム風船におっかなびっくりはさみを入れると、案に反して破裂はしなかった。ぱっくりと開いた切り口からスローモーションで空気が抜けていき、それから一拍おいて火にあぶられたラップのようにくしゃくしゃと縮まっていく。拾おうとして触れると、劣化したゴムが指につれてはりはりとくだけた。