夏のしっぽ

いつもは一進一退、早く涼しくならないかなぁと望まれてやってくる秋なのに、急激にさめていく空気のなかをざあっと冷たい雨が通り過ぎ、その後は熟れていく果実のかぐわしさと、野焼きの煙のにおいで満たされていた。夏のしっぽが目に見える肉厚で幅広の包丁で切断されたような気がして、つい目の端で切れはしを探している。