ひとだま

とっぷり日の暮れた木下道を歩くうち、前方に明滅する白いひかりを見た。
すこし身がまえて、目をこらしてみれば、それは衣替えで全身真っ黒になった女子高校生のもつ携帯電話の光が、ときおり頭にさえぎられてはまた現れるのだった。メールを打ちながら行くらしき後ろ姿はゆらゆらとおぼつかなくて、いま彼女のたましいは文字通り体をはなれてあの光の中にあるのだと思ってみる。