減反

夏至が近い。田ごとに映りこむ風景は稲の生長につれて紗がかかり、おぼろになっていく。そんななか時々半分ほど苗を植えずに残された水面には、いまだに雪を残した山並みがくっきりと稜線を浮かび上がらせていて、その澄明さが痛々しい。
幼いころから見慣れたこのねじれた水鏡も、今年を最後に姿を消すかも知れないという。