写真日記道:長くないトンネルの話

トンネル出口

いまは新道ができたせいで車もまばらな古い街道の、曲がりくねる坂道をのろのろと登りきると、車1台ぶんの幅しかないので交互通行になっている信号つきのトンネルがある。誰もこないのにひたすら赤信号が点りつづける入りぐちで、もしかして信号が壊れているんじゃないかと疑いかけるほど長いこと待ちつづけ、やっと青になったので進入すると、あれほど待ったのだからよほど長いトンネルだろうという予測はあっけなく裏切られ、入りぐちからちょっと下っただけで木々の鮮やかな緑色で彩られた出口が見えた。
静かなのが最大のウリだったはずの自分の車のエンジンが、ほかに誰もいないトンネル内に轟音を響かせている。