枇杷色の月

降りそうで降らない、たれこめた雲と湿気を呪いながら暑い一日をすごして、やっと汗を流して窓辺で涼んでいると、東の空にひくく枇杷色の月が見えた。月齢13.6。ほんものの枇杷はといえば、まだ青いまま、梢の先で天をさしている。
ほころびはじめた庭のあじさいが、夕闇に白く浮かび上がって、風が吹くたびにゆらゆらと時間差で揺れる。