猫ストーク

朝の通勤の路上で、ふと前を見るといつも近所で見かける黒と茶の縞もようの野良猫が歩いている。優美に腰を振りながら、抑揚迫らざる歩調でまっすぐまえをいく姿を眺めつつ、美人のうしろをやにさがって歩く男心を疑似体験。そのうちにご当猫がふっと後ろを振り返り、「なんかいる」と当方を認識、やおら歩調を早めるものの、進行方向が重なっているのでこっちとしても「何もしないよ意識すんなよ」とストーカー扱いされている気分になる。結局あまりにしつこい(誤解なんだけど)のに嫌気がさしたのか、脇道(じつはよそ様の庭先)にそれて、そのまままっすぐ進む私を「まったくもう、油断もスキもない!」という目で睨んでいた。