アシナガバチの巣

職場の窓の外に、アシナガバチが巣を作った。毎日窓をあけて空気を入れかえているのに、なんで今まで気がつかなかったかというと、そこがちょうどカーテンのかげだったから。
なにしろ窓のすぐ外なので、ガラスごし、すぐ目の前にハチが一匹、せっせと巣の増築に励んでいるのがよく見える。アシナガバチなんて珍しくもないけれど、こんなに至近距離でしかも身の危険を感じずに観察するのははじめてで、まめまめしいようすは眺めていて飽きない。
しかし毎日開ける窓のよこに巣があるとなると、部屋の中まで入ってくる危険も増すことになる。ちょっともったいなかったが、同僚と一緒にハチの姿が見えなくなったスキを狙って巣を取ってしまった(残念ながらまだ蜂の子はなかった)。
予想はしていたことだったけれど、戻ってきたハチは目に見えて動揺した。まず巣があったあたりを、なんどもなんども行ったり来たりし、ないと分かるや、巣があったあたりの真下の捜索を開始(風で落ちたかと思ったらしい。賢い。)今度はそのあたりを延々と徘徊している。10分ほどたって、未練を思い切るかのようにぶーん、と飛んでいって見えなくなった。
自衛のためとはいえ、後味が悪かった。ある日帰ってみたら自分の家があとかたもなかったりしたら、いったい私はどうするだろう。