冷たい食卓

いちばん堪えるのは、やれ吸い込むな、熱くない?こっちも食べてよ、薬のもうか、歯ブラシしよう、と怒濤の食事時間を終えるやいなや、さっさと寝られてしまったあと。
細かく刻み、消化やバランスを考え、薄味を心がけた食事を機械的に流し込む。日によって食欲に波があるので、自分の分として残されるのが多かったり少なかったりするのはむしろ些細なことだ。一緒に食べるということができにくくなったことや、感想が聞けなくなったことや、何より食事を早くすませたい苦行のように思っているんじゃないかということが、冷めた食事の味気なさとともにのしかかってくる。
やっと追いついたと思ったらもう対等でないということ、誰のせいでもないけど、何も考えずにはいられない自然の成り行き。ふだんは一人きままにろくでもないものを食べているくせに、それよりずっとずっと孤独な、冷たい食卓。