日陰の花

駐車場に車を入れていると視界の端に白いものがうつる。車を停めてから白いものが見えたボイラーの下を覗き込むと、窮屈そうに茎を折り曲げた百合の花が、付け根から花びらが朽ちた状態でいましも枯れんとするところなのだった。
ボイラーの横、焼けこげそうな位置に毎年花を咲かせていたその株のことを、今年はすっかり忘れていた。あわれユリは、ほったらかされて茎を伸ばす方向を間違えたばっかりににっちもさっちもいかず、この日を迎えてしまったのだろう。あんまりな姿にたじろいでそのままにげてきてしまった。
枯れたら掘り上げてやって、来年こそはちゃんとしたところに植えてやろうと思う。