はつゆき

車のドアを閉めて、冷たい外気にずっとふせていた顔を上げると、視線のさきの山が白い雪ぐもをかぶっている。駐車場に着く頃には横なぐりの風に白いものが混じりはじめ、みるみるうちに綿をちぎったような大粒の雪になった。逃げ込んだ店のガラスごしに見上げれば、真っ白な空から降る雪は灰色のちりのようで、一瞬のちに黒々としたアスファルトににじんで消えるのとは別のものに見える。