きざし

雪のきざしをたたえた空は、戦時中黒くした塗壁を、上からまた白く塗り直した色をしている。窓から駐車場がまだらにみえたので、早々にまいた塩カルが溶けて乾いたのかと思ったら、目にとまらないくらい細かな粉雪が、音もなく降っているのだった。風がないせいでまっすぐにさらさら、さらさらと降り注いだ雪は一日かけて粒の大きさを増し、帰りには夜目にも白いなめらかな薄物になっていた。