やしなう

赤いポリタンクは季節によって違うものに見える。両腕に下げてバランスを取りながら階段をのぼり、とろとろと朱色の炎をゆらしている黒い鉄製のストーブにたどり着いたら、まずかじかんだ手をあぶる。感覚が戻ったら給油口のふたを取り、ポリタンクを傾けて油を注ぐ。のどを鳴らすような音がして、ゆらゆらと赤い針が「満」に近づいていく。こうして冬のあいだじゅう、獣を養うようにせっせと往復をくりかえしている。