下へまいります

夕暮れのうす闇の窓に、逆三角形の半透明のボタンがついている、と思ったのは、向かい側のドアの飾り窓からもれる明かりの反映だった。ガラスごしに、下の通りでバスを待つ人たちの列が透けて見えている。
対になるはずの上りのボタンがない、たったひとつだけのボタンが、一方通行のエレベータを思わせる。