シーソーバス

終点が近づくにつれて満員の乗客は順調に減っていき、とうとう4人だけがなぜか後2列にかたまって残されてしまう。あみ棚の荷物をおろしながら、最後尾の老夫婦の妻の方が、「うしろにかたまっとるでひっくりかえりゃせんかね」という口ぶりがあまりにもまじめだったせいで一拍おいてから、4人全員のときならぬわらい声が運転席まで空しく明るい車内をさざなみのようにわたっていった。