丘の"身"

冬至までひと月足らず。朝の暗がりで人家の灯りかと思ったそれは、夏のあいだ水も漏らさぬ密度を誇った木々の葉が落ちはじめて、林にあいた穴ごしに見える向こう側の空だった。ここ数日の本格的な北風でまばらだった穴はどんどん増えて互いにつながり、今朝はもう梢ごしに地表が見てとれる。樹頭の高さで認識していた丘のカサがじつは半分くらいしかなかったことに気づいた。ぬれた犬の体が思ったより小さかったり、羽毛をむしった鳥が案外やせっぽちだったりするのを連想させる。