乱調

長い信号待ちのあいだワイパーをとめて、フロントガラスにそそぐ雨粒の離合集散をながめている。街並みやテールランプがにじんで流れ下る。青信号を合図に溶けだした景色をぬぐって、すこし進みまたとまる、その何度目かに突然、いままでの五倍もあろうかという大粒の水滴がばたばたと窓をたたいた。ちいさな飛沫を一瞬にしてぬりつぶしたそれは、頭上の街灯のカサから落ちてきている。