にじゅうしのひとみ

恒例の夏の宴の真ん中に座らせて、あれを食べろ、もっと皿を近づけろ、スプーンの方がいいか、暑くはないか、麦茶はいらないか、疲れたか、眠くはないか、と一同注視にとどまらず、代わる代わる口と手とを出すので、たぶん祖父本人は個体識別もできずに疲れ果てているのだろう、いつも以上に物も言わずに出てくる物を片っ端からかき込んで、「寝る!」と宣言して寝てしまった。本人<子<孫の順で人数が増えるので、孫たちが子どもだった頃とは比較にならないくらいの注目を受けて、大変だなぁとつい人垣の外から苦笑しながら眺めてしまう。